2018年8月14日火曜日

地政学

「地政学」という言葉を50代になって知りました。

地理的条件を戦争に役立てる学問のように思われて、日本では戦後あまり力を入れてこなかったジャンルの学問のようです。

しかしながら、地理とか地政学を知っていると知らないとでは、歴史の理解がまるで違うことに気づき、歴史の背景として意識するようになりました。例を挙げると、

1)大陸と半島と島国で、政治の安定性に差が見られる。例えば、ユーラシア大陸では中国でも欧州でも国(王朝)同士が領地を奪い合う歴史がある。片や英国や日本を見ればわかるが島国は民族・文化の行き止まりなのか、政治的に比較的安定している。そして半島は大陸から攻めて来た時に行き先がなく、またここを抑えることで海洋への睨みが効くので勢力の奪い合いになり戦争の発火点になりやすい。バルカン半島や朝鮮半島がそうですね。

2)ロシアは不凍港を持ちたいという強いモチベーションがあり、英国は国防上・貿易上、七つの海を自分が支配したい強いモチベーションがあった。従って、ロシアは南へ南へと進出することを目指し、大英帝国はそうはさせまいと押し返す。その結果がクリミア戦争だったり、日露戦争だったりするわけですね。(日露戦争当時、日本と英国は同盟関係にあった)

3)国家為政者の頭にある、land power、sea powerの概念を知っておくと、どうしてこの国を攻めたいのか、仲良くなりたいのか、が理解できる。

日本は江戸時代、いわゆる鎖国をしていたがために海軍を持たず、他国を攻める行動は抑制されました。逆に新興国であるアメリカが太平洋の覇権を確保すべく、大西洋の覇権を持った英国に次いでsea powerに目覚め、彼らに開国を迫られ、日本は海洋国家であることを思い知らされ、太平洋の覇権を賭けてアジア・太平洋戦争で敗戦するまでもがき続けます。今は殺し合いの戦争はしませんが、TPPの主導権を誰が握るかが形を変えた太平洋覇権の奪い合いでしょう。

自分の支配できる領土を広げたい、という人間の欲望は昔からあまり変わりがないようで、次制覇したいのは宇宙、ということで、最近ロケットの開発競争とか宇宙軍の創設とかが話題になりますね。地上の戦争もなくならないうちに宇宙で戦争が始まって欲しくはないですが、無法者が宇宙空間を分割支配し始める前に手を打たねば、ということなんでしょうか。


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